千葉市も宿泊税導入へ【稲毛新聞2025年9月号】

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  2025/9/4
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 日本政府観光局によれば、今年7月の訪日外客数は約343万7千人で、前年同月比では4・4%増となり、同月として過去最高を更新したという。そんななか、全国で宿泊税の導入が進んでいる。観光PRやインフラ整備財源としても注目される宿泊税。高まるインバウンド需要を考えれば、導入に積極的な自治体が増えることは当然のことだ。千葉県においても熊谷知事が導入を表明。しかし成田空港到着後、観光客が県内にとどまる割合の低さなど課題も多い。

宿泊税とは? 

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 私たちが旅行やビジネスで宿泊施設を利用する際、その地域によって宿泊税を支払うことがある。宿泊税は、旅館やホテルなどの宿泊料金に課税される税金だ。宿泊税は自治体の観光PRやインフラ設備など観光振興に使われる。現在、全ての自治体が導入しているわけではない。2002年、東京都が宿泊税を全国初導入し、2017年に大阪府、2018年に京都市、2019年に石川県金沢市が導入。これらに続いて、導入を決めた都道府県や市区町村もあり、さらには導入を検討する自治体も増えている。
 
 宿泊税の金額は自治体によって異なる。ちなみに東京都では1万円以上1万5千円未満の素泊まり料金において宿泊税は1人1泊あたり100円。1万5千円以上は200円となっている。


千葉県でも検討

 宿泊税のように税金の使い道が明確な税金は法定外目的税とよばれ、それぞれの自治体の課題解決のために条例を制定し、総務大臣が同意すれば課税される。まず都道府県が課税し、市区町村が別に上乗せ課税することができる仕組みだ。
 千葉県では150円課税され、千葉市は同額を上乗せする方向で検討されているから、導入後は300円が宿泊費に上乗せされる見込みとなっている。宿泊税は当然ながら日本人にも課税される。観光客でなくビジネスで利用しても課税されることになり利用者の一部から不満の声もある。
 

外国人観光客の増加に伴う悪影響

 宿泊税の使い道として、観光客誘致だけではなく、過剰観光対策費に充ててほしいとの切実な声が各地で出ている。特定の観光地では、外国人観光客が過度に集中していることで、地域住民や環境に悪影響を及ぼしているからだ。また、課税の主たる目的は誘致ばかりが強調されているところに、専門家が問題提起している。
 
 京都では路線バスが大きな荷物を抱えた観光客で満員になり一般市民の利用ができなくなったり、ごみのポイ捨てや民家の敷地内に無断で立ち入るなどのマナーの問題が発生している。また、鎌倉ではアニメの聖地での写真撮影で踏切事故の発生、北海道のニセコ地区では需要増大による物価高騰が地域経済にダメージを与えるなど、関係者は頭を抱えている。

 訪日観光客の利用が多いニセコの飲食店では一杯二千円のラーメンや一万円の寿司が売れているのに引きずられ、地元住民の外食費まで値上がりの傾向だという。それだけではなく、より高給を求めて労働力が動くことで、給与が低い介護職の人材などに深刻な人手不足が生じている。
 

観光公害や地元経済への対策は?

 このように課題が山積しているため、宿泊税は観光公害対策や総合的な地域経済対策のもとに課税されなければならない。千葉市は「新たな観光企画の立案」「国際会議の誘致」「効果的な情報発信」を課税の主な目的としており、その費用として5~6億円を見積もり、そこから150円の上乗せ額をはじき出したとみられる。どのような観光公害や経済問題を想定し、その対策と予算計上をどう考えているのだろうか。
 
 本年4月の千葉市観光振興検討会議の第3回会議資料によると宿泊税の使い道として「市内回遊性向上の仕組みづくり」「二次交通支援・アクセス改善」という素案もあり、 これらは観光客の集中を避け地域内での分散を促す施策となるかもしれないが、更なる具体的な対策に期待したい。


新しい税金の有効活用を

 千葉市は国際空港と首都との中間に位置する地理的優位性を持つほか、日本最大級のコンベンション施設を有するなど都市としての利便性がある。それに加え日本一の長さを誇る人工海浜などの自然を最大限に活かし、総合的な魅力で外国から旅行者を呼び込もうと取組んでいるが、成田到着後千葉県内をスルーして都内、全国の観光地に向かう旅行者が多いのも事実。
 
 市内では訪日観光客による目立った観光公害はまだ報告されていないが、施策が実を結び訪日観光客が増えれば、予期せぬトラブルが想定される。訪日観光客をどう誘致しもてなすかだけではなく、起こりうる問題にどう対処するか、各地の事例を検討し、誘致と観光公害対策の両面から考えた上で、宿泊税を有効活用してほしい。

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